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果物の木に果実を実らせるには、花が咲いた時に受粉という作業をしなければなりません。当菜園では受粉にはミツバチ(蜂)を使っています。
いちごの花が続々と咲いてきました。人工受粉は非常に手間がかかります。筆でいちごの花を撫でてあげると受粉はしますが、当菜園には一つの温室にいちごの株が3万本あります。そこにつく花を人手で受粉するのはまず不可能ですね。
そこで登場するのがミツバチです。ミツバチが花から花へと移っていく時に、花粉を運んで受粉します。蜂を見ると脚の部分に大きな花粉団子を付けて一生懸命飛んでいます。花粉を集めているんですね。
私達は日本ミツバチ、西洋マルハナバチ、黒マルハナバチと色々と使ってきました。今は写真の黒マルハナバチを使っています。
以前は西洋マルハナバチを使っていました。西洋マルハナバチは元々日本の在来種ではありません。温室の天窓等から逃げ出したら、日本の自然界の生態系を乱してしまいます。数年前に農政省の指導で使用禁止になりました。(天窓にネットを張って蜂が外へ出ないようにすれば使えますが。)非常に賢く、飼育しやすかったので残念でした。
それでは日本の蜂を!ということで日本ミツバチを飼育して使用してみましたが、これがまた飼育が難しく困りました。気が荒く、気分屋さんでなかなかこちらの思う通り働いてくれませんでした。受粉もうまくいかず、変形果が出来てしまうなど、困りもんでした。
最終的に黒マルハナバチに落ち着き現在に至ってます。主に北日本に生息しているそうです。
いちご狩りに来たお客様はこの蜂を見て大きくて怖がりますが、人を刺すことはまずないですね。よく蜂は黒い物めがけて飛んでくるということを言う方がいます。経験上あまり気にしたことはないのですが、設置してある蜂の巣の穴、蜂の出入り口はのぞかない方がいいでしょうね。そして、叩いたり刺激はしないでください。
これが蜂の巣箱です。ちょっと想像と違うでしょう?よく皆さんご存知なのは、木製の巣箱で養蜂家がはちみつを採取する箱ですね。この巣箱は紙製で中に蜂の巣が一群入っています。
要するに女王蜂が一匹とその他働き蜂ですね。基本働き蜂はメスの蜂です。オスは働きません。
えっ? それでいいのかって? それでいいのです。 蜂の世界はそういうものなのでしょう。(笑)人間世界とは違います。
ただし、面白い現象があります。この写真の蜂の巣箱は当社のトマトの温室から持ってきたものです。トマトでは新しく投入した蜂が約2カ月で使用できなくなります。どういう生態なのかは分かりませんが、生まれてくるのがオスばかりになってしまい働くメスがいなくなってしまうから。
でも何故か、トマトの温室で働かなくなったオスばかりの蜂の巣箱をいちごの温室に持ち込むと・・・・あら不思議、オスの蜂も飛び出して働きだします。
ミツバチ君は蜂蜜が好きです。
答えは簡単! トマトの花にはミツがほとんど無いんです。マズイんですね。でもいちごの花には魅力的なあま~いミツが一杯。 ウマいんです(笑)
それでオスも働きだすんです。なんて都合のいいオス! 世の女性の方々がなんとおっしゃるか!『どこの世界も一緒ね!!』 なんて言わないでね。 男性陣も頑張って日々働いていますから。
その後のミツバチ達は?
蜂の巣箱の上の蓋を開けて中を見てみると、中の蜂が見えるようになっています。
基本、通常の使用では(トマトの温室等での使用)オスが多くなってくるとその巣箱はもう利用価値がありません。オスばかりになったら、その巣は廃棄します。どのように見分けるかというと、メスは写真のように黒色、オスは黄色の身体をしているので、すぐに見分けがつきます。
巣箱の中の蜂が黄色の蜂ばかりになったら、その巣箱は廃棄処分ですね。廃棄処分というとその辺に置いておく訳にはいきません。外に置いておけばそれこそ、生態系を乱してしまうからです。
でも当社はオスの都合のいい生態を利用して?? 再利用しますが。それでも、いちごの温室で使用していると、古いオスばかりの巣箱もその中の女王蜂が死んでしまいます。女王蜂が死んで、新しい蜂が生まれてこなくなれば、自然と蜂の数が減ってきて、巣箱には蜂はいなくなります。
この蜂の巣はオランダから空輸して輸入しています。日本の在来種なのに日本では繁殖して、栽培用には作る技術が無いのでしょうか?でもさすが農業大国オランダですね。
当温室はオランダの技術満載です。日本の施設園芸はオランダの先進農業技術を多分に取り入れています。また後程紹介しますね。
また、当菜園に来ていただけば、蜂の巣の中をお子様もご覧にいただけるかもしれません。係りの者に聞いてみてね!