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春のいちごの生育
いちごは本来は春に実をつける植物です。
日本のいちご栽培の技術はとても進んでいて、本来いちごが旺盛に成長する春の時期を変えて、冬眠している冬の時期からいちごが実をつける環境を作ります。
今からの暖かくなる時期は本来いちごの生育が活性化してくる時期なので、いちごの生態を知るにはいい時期です。
まず、この時期にいちご狩りの温室へ入ると、いちごの葉っぱの間からランナーという蔓(つる)状の芽が出ています。
これらのニョキっと伸びている蔓(つる)状の芽をよく見てください。先っぽに小さな葉がついています。
いちごは種をまいて発芽して目が出てくるのではありません。この蔓状のランナーの芽を取って苗にしていきます。
この写真の葉っぱの下の部分を土の上に乗せると発根して根を張ります。放っておくと蔓がどんどん伸びていって、いくつも新しい芽を出していきます。
芽がいくつも出てきたら、この蔓を切って親株から離して独立させれば、いちごの苗の完成です。
毎年毎年、この作業をして次作のいちごの苗を取ります。
この蔓状のランナーというのはお母さんと赤ちゃんをつなぐ臍(へそ)の尾に似ていますね。
いちごの栽培が種からではなく、このランナーから芽を取って始めることは一般の方々はあまり知りません。是非子供に教えてあげてください。
春はいちごの病気に注意!
春はいちごが活性化する時期ですが、暖かいのでいちごが傷みやすく、病気にかかりやすい時期でもあります。
私たちの温室でも、これからの季節はいちごが熟すスピードが速く、収穫が追いつがないことがあります。いちごが木になりたまま熟しすぎて腐ってしまうことがあります。『過熟』といいます。
そして熟しすぎたいちごには『灰色カビ病』が入りやすく、この灰色カビ病の発生が多くみられます。
絶対に食べないでください。私たちの温室でもパートさんが毎日撤去していますが、いちごの陰に残っていたり、作業が間に合わずに残っている場合があります。人には害はありませんが、お子様には触らせないでください。
いちごの葉のチップバーン
また春のいちご狩りは午前中の早い時間に行ってみると、このようにいちごが朝たくさん水を吸って葉の先から水が滴る様子が見られます。いちごが元気な証拠です。
でも水が足りなかったり、水の肥料が濃すぎていちごが水を吸えなかったりすると・・・・
葉っぱの先が写真のように枯れてきます。とても元気には見えませんね。この葉っぱの先が枯れている状態を『チップバーン』といいます。
いちごの株の分げつ
いちごの木の根元をよく見てください。いちごの株がいくつも分かれて大きな株になっていることがあります。これをいちごの『株の分げつ』といいます。
ひとつの株からもう一株出てくれて、いちごの栽培農家にとってはいちごが2倍取れる良い株です。
このようないい子ちゃんのランナーから子株を取って次作につないでいくと、またいい子ちゃんのいちごの株ができます。
春はいちごの生育がとても活発です。またこの半年余り育ってきたいちごの様子をよく見ると面白い時期です。元気で大きいいちごの株。細くて弱々しいいちごの株と色々です。
元気な株の大きないちごが美味しいのは言うまでもありません。大きくて美味しいいちごを見つけてください。